株式会社のしくみと組織形態とは?わかりやすく解説

ストラテジ系 ・ 企業活動 ・ 読む目安9分 ・ 頻出

会社の所有者と経営者の関係、目的を示す言葉、代表的な組織形態を学びます。

解説

会社の「持ち主」と「動かす人」は別です。まず上から下への関係を見て、そのあと部署の分け方(組織形態)を並べて比べます。

1所有と経営 ― 誰が誰を選ぶ?

矢印は「上が下を選ぶ・任せる」。左の帯が、会社を持つ側と動かす側です。

所有
株主
お金を出した会社の持ち主
株主総会
取締役の選任・定款変更など基本事項を決める
経営
取締役会
経営の重要事項を決め、執行を監督する
経営者(業務執行)
代表取締役など。方針に沿って事業を動かす
社員・各部門の日々の業務
営業・製造・開発…
✕ 株主が現場へ直接「こうしろ」と指示する線はありません。株主が口を出せるのは株主総会での議決(取締役を選ぶなど)です。

持ち主(所有)と、経営のプロ(経営)を分ける=所有と経営の分離。

2経営陣の役割 ― CEO・CIO・CTO…

経営者の中で、担当分野ごとに最高責任者を置きます。C○O の真ん中の1文字が担当分野です。

CEO
最高経営責任者Chief Executive Officer
経営全体の最終責任者
COO
最高執行責任者Chief Operating Officer
日々の業務の執行を統括
CFO
最高財務責任者Chief Financial Officer
財務・資金調達・会計
CIO
最高情報責任者Chief Information Officer
経営戦略に沿った情報システム戦略・IT投資
CTO
最高技術責任者Chief Technology Officer
技術戦略・研究開発(技術経営)

取り違えやすいのは CIO(情報) と CTO(技術)。IT投資や情報システムならCIO、製品の技術や研究開発ならCTOです。

3会社の「目的」を示す言葉

パン屋を例に、土台(考え方)から具体(数字)へ積み上げます。

経営理念
大切にする根本の考え方
例:「地域の毎日においしさを」
ミッション
社会で果たす使命・存在意義
例:「焼きたてを毎朝届ける」
ビジョン
実現したい将来像
例:「5年後、市内で一番通われる店」
経営目標
数字で測れる到達点
例:「来年の売上 1.2倍」

「使命・存在意義」ならミッション、「将来こうなりたい姿」ならビジョン。

4同じ4人を、4通りに組み替える

家電メーカー「ミナト電機」の4人を、4通りに並べ替えます。注目は家電の営業・佐藤さんの上司は誰か。

職能別組織

仕事の種類(営業・製造…)で分ける

社長
営業部長
家電の営業佐藤さん
車載の営業
製造部長
家電の製造
車載の製造
佐藤さんの上司営業部長
強み
同じ仕事の人が集まり、専門性が高まる
弱み
部門の壁ができ、製品全体の判断が遅れがち

5問題文から見分ける順番

上から順に3つ聞けば、どの形態かが1つに決まります。

① 目的のための期間限定チーム?
はい →
プロジェクト組織
② 上司(指揮系統)が2つある?
はい →
マトリックス組織
③ 何で分けている?
営業・製造など仕事の種類
職能別組織
製品・地域
事業部制組織

6コーポレートガバナンス ― 経営者を見張るしくみ

株主を始めとした利害関係者が経営者を監視・監督し、企業活動を律する枠組み(企業統治)。①の「報告・監督」の線を強くすることです。

強化になる

  • ・独立性の高い社外取締役を選任する・増やす
  • ・執行役員制度で、経営(取締役)と業務の執行(執行役員)を分ける

ガバナンスとは別の話

  • ・株式公開買付け(TOB)で他社を買収する
  • ・利益の出にくい事業から撤退する
  • ・働きやすくするために労務制度を拡充する

見分け方:経営者を外から・別の立場からチェックできるようになるか。買収・撤退・人事制度は経営判断そのもので、チェックの強さは変わりません。

選択肢に並ぶ「コーポレート○○」以外の言葉

CI
コーポレートアイデンティティ。理念や特性を統一したイメージ・デザインで発信する
コア​コンピタンス
競合他社には提供できない価値をもたらす、自社独自のスキルや技術
資金調達
事業に必要な資本を集めること

7事業部制とカンパニー制

事業部制は、事業ごとの部門の中に、開発・製造・販売・購買などの機能がひとそろいある形。例:家具と照明を作る会社

家具事業部

開発製造販売購買

照明事業部

開発製造販売購買

照明の材料は照明事業部の購買担当が買う。会社全体の購買部が両方を買うなら、それは職能別組織です。

カンパニー制組織

一つの企業の中に、事業領域ごとに独立した会社のような組織を置く。目的は意思決定の迅速化と独立採算。事業部制を一歩進め、お金や人の権限まで任せる形です。

人材と学習を支えるIT

アダプティブラーニング
学習履歴を蓄積・解析し、一人一人の進み具合や理解度に合わせて最適な教材を出す
タレントマネジメント
社員のスキルや経歴を一元管理し、配置や育成に生かす
ナレッジマネジメント
社員の知識やノウハウを共有し、組織全体で活用する

ディープラーニングはAIの学習手法の一つで、人の学習を支えるしくみではありません。

8試験ではここを見分ける

  • 取締役を選ぶのは株主総会、経営の重要事項を決めて監督するのは取締役会
  • 所有(株主)と経営(取締役・経営者)を分ける=所有と経営の分離
  • CIO=情報(IT)戦略、CTO=技術戦略、CFO=財務の責任者。真ん中の1文字で見分ける
  • 2つの軸が交差=マトリックス、目的のための期間限定チーム=プロジェクト
  • 独立採算の社内会社=カンパニー制、経営者への監視・監督=ガバナンス
よくある取り違え

誤り:株主が日々の業務を直接指揮する

正しくは:株主は株主総会で取締役を選ぶ。業務は経営者が執行する

誤り:取締役会が取締役を選任する

正しくは:取締役を選任するのは株主総会

誤り:情報システム戦略の責任者はCTO

正しくは:情報(Information)=CIO。CTOは技術(Technology)戦略の責任者

誤り:マトリックス組織とプロジェクト組織は同じ

正しくは:マトリックス=上司2人の常設組織/プロジェクト=期間限定チーム

試験のポイント

ITパスポート試験での問われ方

所有と経営の分離、株主総会と取締役会の役割、CEO・CIO・CTOなど役員の責任範囲、場面に合う組織形態が問われる

間違えやすいポイント

  • 株主が日々の業務を直接指揮すると考える
  • CIO(情報)とCTO(技術)を取り違える
  • マトリックス組織とプロジェクト組織を同じだと考える

関連用語

株主総会、取締役会、CEO、CIO、CTO、CFO、COO、経営理念、ミッション、ビジョン、職能別組織、事業部制組織、マトリックス組織、プロジェクト組織

図解の内容を文章で読む

株式会社のしくみと組織形態をイメージでつかむ

株式会社の所有者は出資した株主です。株主総会が取締役を選び、取締役会が経営の重要事項を決めることで、所有と経営を分けます。経営陣には CEO・CIO・CTO など役割ごとの責任者がいます。会社の判断の土台が経営理念、存在意義がミッション、将来像がビジョンです。仕事の分け方には職能別・事業部制・マトリックス・プロジェクト組織があります。

たとえると:文化祭で、参加者が代表者を選び、代表者が実行委員を監督するような関係です。普段は係別でも、特別企画には係をまたいだ期間限定チームを作ります。

株式会社では、株主が会社を所有し、株主総会で取締役の選任などの基本事項を決めます。取締役会は経営方針や重要事項を決め、経営を監督します。このしくみが所有と経営の分離です。経営陣には担当ごとの最高責任者を置くことがあり、CEO(最高経営責任者)は経営全体、COO(最高執行責任者)は日々の業務執行、CFO(最高財務責任者)は財務や資金調達、CIO(最高情報責任者)は経営戦略に沿った情報システム戦略、CTO(最高技術責任者)は技術戦略の策定や研究開発の推進といった技術経営に責任をもちます。経営理念は大切にする根本の考え、ミッションは果たす使命、ビジョンは実現したい将来像です。職能別組織は営業・製造など専門別、事業部制組織は製品や地域別、マトリックス組織は職能と事業など二つの軸、プロジェクト組織は特定目的のための一時的な部門横断チームです。

押さえどころ

  • 株主総会は取締役を選び、取締役会が経営を監督する
  • CEO=経営全体、COO=業務執行、CFO=財務、CIO=情報(IT)戦略、CTO=技術戦略の責任者
  • 経営理念・ミッション・ビジョンは判断の軸と目標を示す
  • 組織形態は仕事の種類・製品・複数指揮・期間限定で区別する

確認問題(5問)

確認問題を読み込んでいます...

確認問題は本サービスのオリジナル問題です。ログインなしで解けます(結果は保存されません)。

「株式会社のしくみと組織形態」の過去問(7問)

IPAが公開しているITパスポート試験の公開問題から、このテーマの問題を集めました。

あわせて覚える英略語

つながるテーマ

この解説をXでシェア

学習を記録して、合格まで続ける

教材と確認問題はこのページで全部無料で使えます。登録すると「株式会社のしくみと組織形態」の結果や習熟度が記録され、苦手分野の復習提案、試験日までの学習計画、合格準備度の見える化が使えます。最初の7日間は学習記録も無料です。