情報セキュリティ管理(ISMS・リスクアセスメント)とは?わかりやすく解説
リスクを見積もって対応を選び、ISMSとしてPDCAで回し続ける、組織のセキュリティ管理を学びます。
最初に考えてみよう
セキュリティ対策を思いつきで進めると、本当に危ないところを見落とすかもしれません。どうすれば、守るべき情報とリスクを整理して、継続的に管理できるのでしょうか?
解説
1ISMSは、セキュリティを「組織のしくみ」で回し続けること
ひとことで情報セキュリティを、技術だけでなく組織のしくみとして管理し、PDCAで改善し続けるのがISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)です。
- 1守る範囲と方針を決める(適用範囲・基本方針)
- 2何が危ないかを見積もる(リスクアセスメント)
- 3リスクごとに対応を選び、対策を入れる(回避・共有・低減・保有)
- 4事故が起きたら、すぐ報告して広げない(CSIRT)
- 5第三者が確かめて、直す(内部監査・是正処置)
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
24月:取引先からの宿題
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
- 4月1日社長
大口の取引先から「ISMSの認証がないと、来年から契約できない」と言われてしまった。
35月:方針を3つの層で書く
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
- 5月高木さん(先輩)
次は情報セキュリティポリシーを作る。3つの層に分けて書くんだ。
46月:何を守り、何が危ないか
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
まだ何も書かれていません
- 6月高木さん(先輩)
守る対象を洗い出そう。顧客名簿、顧客管理サーバ、営業のノートPC…。
用語情報資産守るべき情報と、それを扱う機器やソフトウェア。
57月:リスクごとに対応を選ぶ
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
| リスク | レベル | 対応 |
|---|---|---|
| ノートPCの置き忘れ(顧客名簿入り) | 大 要対応 | - |
| 顧客情報の漏えいによる多額の賠償 | 大 要対応 | - |
| 使っていない古いキャンペーンサイトの改ざん | 中 要対応 | - |
| 社内掲示板の表示が崩れる | 小 基準内 | - |
- 7月高木さん(先輩)
評価で決めた順に、対応を選ぶ。選択肢は4つ。順番に進める手順じゃなくて、リスクごとに選ぶんだ。
68月:対策を3つの面で入れる
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
- 8月高木さん(先輩)
決めた対策を入れていく。対策は、技術的・人的・物理的の3つの面に分けて考えるんだ。
79月:古いPCを捨てる
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
- 9月社員(利用者)
古いPCを捨てたいんです。ファイルを消して、ごみ箱も空にしたので大丈夫ですよね?
810月:事故が起きた
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
- 10月 14:00社員(利用者)
取引先を名乗るメールの添付ファイルを開いたら、PCの様子がおかしくて…
91月:内部監査がやってきた
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
- 1月宮本さん(内部監査室)
内部監査室の宮本です。ISMSが決めたとおりに動いているか、効果が出ているかを確かめに来ました。
103月:直して、次の1年へ
- 4月範囲
- 5月方針
- 6月評価
- 7月対応
- 8月対策
- 9月廃棄
- 10月事故
- 1月監査
- 3月改善
- 3月高木さん(先輩)
監査の指摘を直そう。社外へ送るメールの決まりと手順を作って、送る前のチェックも入れる。
用語是正処置見つかった問題(不適合)の原因を取り除き、再発しないよう直す。PDCAのA(改善)で行う。
111年のふりかえり:PDCAで見ると
- P計画4〜7月
適用範囲・基本方針・リスクアセスメント・対応を決める
- D運用8〜10月
決めた対策を運用する(入退室・廃棄・事故の報告)
- Cパフォーマンス評価1月
第三者が客観的に評価する(内部監査)
- A改善3月
是正処置で直し、次の計画へ
どれにあたる?(森さんの1年を思い出して)
サーバ監視の具体的な目的と手順を定める
サーバ監視の作業内容を、第三者が客観的に評価する
情報漏えいの賠償に備えて、サイバー保険に入る
ノートPCの紛失や盗難に備え、社外への持ち出しを厳しく管理する
被災しても続けられるよう、遠隔地にバックアップシステムを用意する
守るべき情報資産に、損害を与える原因になるもの
ISMSの実施項目のうち、いちばん最初に行うもの
試験のポイント
ITパスポート試験での問われ方
適用範囲・方針の3層・リスクアセスメントの手順・リスク対応4分類・対策3分類・廃棄・事故対応・内部監査とPDCAの関係が問われる
間違えやすいポイント
- リスク対応の4分類(特に移転=保険・委託)を取り違える。試験では移転を「共有」、受容を「保有」と書くことも多い
- ISMSを一度きりの作業と誤解する
関連用語
ISMS、リスクアセスメント、リスク対応、回避、低減、移転、共有、受容、保有、情報セキュリティポリシー、ISO/IEC 27001、適用範囲、脅威、脆弱性、内部監査、是正処置、CSIRT、デジタルフォレンジックス
図解の内容を文章で読む
情報セキュリティ管理(ISMS・リスクアセスメント)をイメージでつかむ
情報セキュリティは技術だけでなく、組織として管理する仕組みが重要です。まずリスクアセスメントで危険を洗い出し(特定)、発生可能性と影響度から大きさを見積もり(分析)、優先度を決めます(評価)。次にリスクへの対応を回避・低減・移転(共有)・受容(保有)から選びます。これらを方針(情報セキュリティポリシー)にまとめ、PDCAで継続的に改善する仕組みがISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)で、国際規格はISO/IEC 27001です。
たとえると:家の防犯と同じ。どこが危ないか調べ(特定)、被害の大きさを見積もり(分析)、優先順位を決め(評価)、鍵を増やす・保険に入る・諦めるなどを選び(対応)、定期的に見直す(PDCA)流れです。
情報セキュリティは、機器やソフトの対策だけでなく「組織としての管理のしくみ」が重要です。その中心がリスクアセスメントで、①どんな危険があるか洗い出す(リスク特定)、②発生のしやすさと影響の大きさから危険度を見積もる(リスク分析)、③どれから対処するか優先順位を決める(リスク評価)、の順に進めます。対応は4分類から選びます。危険な行為自体をやめる「回避」、対策で被害を減らす「低減」、保険や委託で他者に負担してもらう「移転」、小さいリスクは承知の上で受け入れる「受容」です(移転=保険、が取り違えやすいポイント)。試験の問題文では、JIS Q 27000 の用語で「回避・共有・低減・保有」と書かれることも多く、共有=移転、保有=受容と同じ意味です。こうした方針をまとめ、PDCAサイクルで回し続けるしくみがISMSで、国際規格はISO/IEC 27001です。ISMSで最初に行うのは適用範囲の決定で、情報セキュリティポリシーはトップマネジメントが定める基本方針・守るルールの対策基準・具体的なやり方の実施手順の3層です。運用中は、入退室管理や遠隔地のバックアップなどの物理的対策、教育などの人的対策、通信の遮断などの技術的対策を組み合わせ、事故が起きたら決めてある経路で速やかに報告し、CSIRTが被害の拡大を防ぎます。C(パフォーマンス評価)では内部監査が適合性と有効性を確かめ、A(改善)では是正処置で直します。一度作って終わりではなく継続的に見直す、という点も試験で問われます。
押さえどころ
- 最初にISMSの適用範囲を決める。経営者は丸投げせず自ら主導
- 脅威=損害の原因/脆弱性=つけ込まれる弱点。アセスメントは特定→分析→評価
- 対応は 回避/低減/共有(移転)/保有(受容) から選ぶ
- 内部監査=C(パフォーマンス評価)、是正処置=A(改善)
確認問題(4問)
確認問題は本サービスのオリジナル問題です。ログインなしで解けます(結果は保存されません)。
「情報セキュリティ管理(ISMS・リスクアセスメント)」の過去問(31問)
IPAが公開しているITパスポート試験の公開問題から、このテーマの問題を集めました。
- 令和8年度 問70ISMS
- 令和8年度 問79サイバーセキュリティ経営
- 令和8年度 問89脅威
- 令和8年度 問93ISMS
- 令和8年度 問94物理的セキュリティ対策
- 令和8年度 問100ISMS
- 令和7年度 問59ISMS
- 令和7年度 問68CSIRT
- 令和7年度 問74デジタルフォレンジックス
- 令和7年度 問83ISMS
- 令和7年度 問84情報セキュリティ方針
- 令和7年度 問88物理的セキュリティ対策
- 令和7年度 問91リスク対応
- 令和7年度 問93脅威
- 令和6年度 問63Secure Erase
- 令和6年度 問64リスク共有
- 令和6年度 問86ISMS
- 令和6年度 問91データ消去
- 令和6年度 問94情報セキュリティポリシー
- 令和5年度 問61セキュリティバイデザイン
- 令和5年度 問72リスク共有
- 令和5年度 問79ISMS
- 令和5年度 問81データ消去
- 令和5年度 問90クリアデスク
- 令和5年度 問94情報セキュリティ方針
- 令和4年度 問55PCI DSS
- 令和4年度 問58ISMS
- 令和4年度 問74アンチパスバック
- 令和4年度 問76リスク共有
- 令和4年度 問85情報セキュリティポリシ
- 令和4年度 問86リスクアセスメント
あわせて覚える英略語
学習を記録して、合格まで続ける
教材と確認問題はこのページで全部無料で使えます。登録すると「情報セキュリティ管理(ISMS・リスクアセスメント)」の結果や習熟度が記録され、苦手分野の復習提案、試験日までの学習計画、合格準備度の見える化が使えます。最初の7日間は学習記録も無料です。