情報セキュリティ管理(ISMS・リスクアセスメント)とは?わかりやすく解説

テクノロジ系 ・ 技術要素(セキュリティ) ・ 読む目安15分 ・ 頻出

リスクを見積もって対応を選び、ISMSとしてPDCAで回し続ける、組織のセキュリティ管理を学びます。

最初に考えてみよう

セキュリティ対策を思いつきで進めると、本当に危ないところを見落とすかもしれません。どうすれば、守るべき情報とリスクを整理して、継続的に管理できるのでしょうか?

解説

1ISMSは、セキュリティを「組織のしくみ」で回し続けること

ひとことで情報セキュリティを、技術だけでなく組織のしくみとして管理し、PDCAで改善し続けるのがISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)です。

  1. 1守る範囲と方針を決める(適用範囲・基本方針)
  2. 2何が危ないかを見積もる(リスクアセスメント)
  3. 3リスクごとに対応を選び、対策を入れる(回避・共有・低減・保有)
  4. 4事故が起きたら、すぐ報告して広げない(CSIRT)
  5. 5第三者が確かめて、直す(内部監査・是正処置)
お話で見るITILの話と同じ会社で、森さんたちが1年かけてISMSを作ります。 4月に取引先から出された宿題が、3月まで続いていきます。
森さん
ISMSの担当
高木さん
10年目の先輩
社長
トップ
宮本さん
内部監査室
  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善

24月:取引先からの宿題

  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善
  1. 4月1日
    社長

    大口の取引先から「ISMSの認証がないと、来年から契約できない」と言われてしまった。

1 / 6

35月:方針を3つの層で書く

  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善
  1. 5月
    高木さん(先輩)

    次は情報セキュリティポリシーを作る。3つの層に分けて書くんだ。

1 / 5

46月:何を守り、何が危ないか

  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善
リスク台帳

まだ何も書かれていません

  1. 6月
    高木さん(先輩)

    守る対象を洗い出そう。顧客名簿、顧客管理サーバ、営業のノートPC…。

    用語情報資産

    守るべき情報と、それを扱う機器やソフトウェア。

1 / 6

57月:リスクごとに対応を選ぶ

  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善
リスク台帳
リスクレベル対応
ノートPCの置き忘れ(顧客名簿入り)大
要対応
-
顧客情報の漏えいによる多額の賠償大
要対応
-
使っていない古いキャンペーンサイトの改ざん中
要対応
-
社内掲示板の表示が崩れる小
基準内
-
  1. 7月
    高木さん(先輩)

    評価で決めた順に、対応を選ぶ。選択肢は4つ。順番に進める手順じゃなくて、リスクごとに選ぶんだ。

1 / 5

68月:対策を3つの面で入れる

  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善
  1. 8月
    高木さん(先輩)

    決めた対策を入れていく。対策は、技術的・人的・物理的の3つの面に分けて考えるんだ。

1 / 7

79月:古いPCを捨てる

  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善
  1. 9月
    社員(利用者)

    古いPCを捨てたいんです。ファイルを消して、ごみ箱も空にしたので大丈夫ですよね?

1 / 4

810月:事故が起きた

  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善
  1. 10月 14:00
    社員(利用者)

    取引先を名乗るメールの添付ファイルを開いたら、PCの様子がおかしくて…

1 / 6

91月:内部監査がやってきた

  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善
  1. 1月
    宮本さん(内部監査室)

    内部監査室の宮本です。ISMSが決めたとおりに動いているか、効果が出ているかを確かめに来ました。

1 / 6

103月:直して、次の1年へ

  1. 4月
    範囲
  2. 5月
    方針
  3. 6月
    評価
  4. 7月
    対応
  5. 8月
    対策
  6. 9月
    廃棄
  7. 10月
    事故
  8. 1月
    監査
  9. 3月
    改善
  1. 3月
    高木さん(先輩)

    監査の指摘を直そう。社外へ送るメールの決まりと手順を作って、送る前のチェックも入れる。

    用語是正処置

    見つかった問題(不適合)の原因を取り除き、再発しないよう直す。PDCAのA(改善)で行う。

1 / 5

111年のふりかえり:PDCAで見ると

  1. P
    計画4〜7月

    適用範囲・基本方針・リスクアセスメント・対応を決める

  2. D
    運用8〜10月

    決めた対策を運用する(入退室・廃棄・事故の報告)

  3. C
    パフォーマンス評価1月

    第三者が客観的に評価する(内部監査)

  4. A
    改善3月

    是正処置で直し、次の計画へ

どれにあたる?(森さんの1年を思い出して)

  • サーバ監視の具体的な目的と手順を定める

  • サーバ監視の作業内容を、第三者が客観的に評価する

  • 情報漏えいの賠償に備えて、サイバー保険に入る

  • ノートPCの紛失や盗難に備え、社外への持ち出しを厳しく管理する

  • 被災しても続けられるよう、遠隔地にバックアップシステムを用意する

  • 守るべき情報資産に、損害を与える原因になるもの

  • ISMSの実施項目のうち、いちばん最初に行うもの

試験のポイント

ITパスポート試験での問われ方

適用範囲・方針の3層・リスクアセスメントの手順・リスク対応4分類・対策3分類・廃棄・事故対応・内部監査とPDCAの関係が問われる

間違えやすいポイント

  • リスク対応の4分類(特に移転=保険・委託)を取り違える。試験では移転を「共有」、受容を「保有」と書くことも多い
  • ISMSを一度きりの作業と誤解する

関連用語

ISMS、リスクアセスメント、リスク対応、回避、低減、移転、共有、受容、保有、情報セキュリティポリシー、ISO/IEC 27001、適用範囲、脅威、脆弱性、内部監査、是正処置、CSIRT、デジタルフォレンジックス

図解の内容を文章で読む

情報セキュリティ管理(ISMS・リスクアセスメント)をイメージでつかむ

情報セキュリティは技術だけでなく、組織として管理する仕組みが重要です。まずリスクアセスメントで危険を洗い出し(特定)、発生可能性と影響度から大きさを見積もり(分析)、優先度を決めます(評価)。次にリスクへの対応を回避・低減・移転(共有)・受容(保有)から選びます。これらを方針(情報セキュリティポリシー)にまとめ、PDCAで継続的に改善する仕組みがISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)で、国際規格はISO/IEC 27001です。

たとえると:家の防犯と同じ。どこが危ないか調べ(特定)、被害の大きさを見積もり(分析)、優先順位を決め(評価)、鍵を増やす・保険に入る・諦めるなどを選び(対応)、定期的に見直す(PDCA)流れです。

情報セキュリティは、機器やソフトの対策だけでなく「組織としての管理のしくみ」が重要です。その中心がリスクアセスメントで、①どんな危険があるか洗い出す(リスク特定)、②発生のしやすさと影響の大きさから危険度を見積もる(リスク分析)、③どれから対処するか優先順位を決める(リスク評価)、の順に進めます。対応は4分類から選びます。危険な行為自体をやめる「回避」、対策で被害を減らす「低減」、保険や委託で他者に負担してもらう「移転」、小さいリスクは承知の上で受け入れる「受容」です(移転=保険、が取り違えやすいポイント)。試験の問題文では、JIS Q 27000 の用語で「回避・共有・低減・保有」と書かれることも多く、共有=移転、保有=受容と同じ意味です。こうした方針をまとめ、PDCAサイクルで回し続けるしくみがISMSで、国際規格はISO/IEC 27001です。ISMSで最初に行うのは適用範囲の決定で、情報セキュリティポリシーはトップマネジメントが定める基本方針・守るルールの対策基準・具体的なやり方の実施手順の3層です。運用中は、入退室管理や遠隔地のバックアップなどの物理的対策、教育などの人的対策、通信の遮断などの技術的対策を組み合わせ、事故が起きたら決めてある経路で速やかに報告し、CSIRTが被害の拡大を防ぎます。C(パフォーマンス評価)では内部監査が適合性と有効性を確かめ、A(改善)では是正処置で直します。一度作って終わりではなく継続的に見直す、という点も試験で問われます。

押さえどころ

  • 最初にISMSの適用範囲を決める。経営者は丸投げせず自ら主導
  • 脅威=損害の原因/脆弱性=つけ込まれる弱点。アセスメントは特定→分析→評価
  • 対応は 回避/低減/共有(移転)/保有(受容) から選ぶ
  • 内部監査=C(パフォーマンス評価)、是正処置=A(改善)

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